カイゼン甲子園は何を生んだか。提案者、運営委員に聞く。



カイゼン甲子園(職場改善運動事例発表会)は、自らの仕事の価値、課題等を確認、再発見し、よりよい仕
事のあり方を模索、さらにはそれらの運動を全庁的に広げようとするもの。これらの運動は何を生んだのか。
建設局南工営所管理係長の嶋岡秀二郎さんは「カイゼンと言われても、最初は戸惑った。一生懸命やってい
ると思う気持ちが強かったから」と当時を振り返る。「正直、やらされているという感じ」で始めたが、所長から言
われたことは「新しいことを考える必要はない。今までを振り返ろう」。ここから嶋岡さんたち南工営所のカイゼン
が始まった。
嶋岡さんたちがカイゼン甲子園に提案したのは、放置自転車の解決に向けたもの。「とおれんぞー、とおれるぞ
ー」と名付けられた提案の特徴は、現在の「撤去」中心の放置自転車対策を補完する意味で「場の整理」に
視点を向けたこと。「市民に背中を見せることから始めた」と表現する嶋岡さんたちの考えは、放置するのも、や
めるのも人間という発想から、市民の「心」に訴えるものだった。所管する南田辺駅では放置自転車が0台にな
ったこともあり、市民から感謝の声があったという。
交通局緑木車両管理事務所緑木検車場長の石田憲治さんらの提案は、広範で複雑な専門技術の伝承
を、ビジュアル化、デジタル化した研修資料で伝えようとするもの。石田さんは、「車両屋」と呼ばれ、電車のメン
テナンスが専門だ。「現場職員の採用形態の見直しで、機械や電気の専門家集団の職場に、普通科を卒業
した新人が入ってくるようになった。誰が見てもわかりやすい資料を作ることが大切だった」と発想の動機を語る。
「パソコンがないと始まらない職場なのに、パソコンがゆきわたっていなかった。」と当時を振り返る。パソコンが仕
事に不可欠なのに、デジタル化が進まない職場。加えて団塊世代の大量退職を間近に控え、技術の伝承や
人手不足も大きな課題となっていた。石田さんは「人目に触れることの少ない地味な職場だが、お客様の生
命を預かる絶対的な安全性が求められる職場であり、未来へ安全を続けるには、今これをすることが大切」と
訴える。
東淀川区役所が提案した「イザ我ラモHGカ・イ・ゼ・ン フォー」は、このたびのカイゼン甲子園でグランプリを受
賞した。税務課の阿佐彰彦さんの感想は「まさかの受賞にびっくり」。
グランプリの提案は、区への問い合わせに関する「たらい回し」の改善、区所有の自転車に安全ステッカーを貼
り、子どもたちの安全確保などを実践しようとするもの。「たらい回し」に関しては、電話対応マニュアルをつくり、
誰が取ってもワンストップで市民に情報提供ができるようにした。区民企画室の礒井誠さんは「区の業務は種
類が多く、担当課しかわからないことが多いが、市民にとって区役所はひとつ。誰でも対応できるように、マニュア
ル化が必要だと思った」と話す。阿佐さんは「これまでは職員の経験や資質に頼るところが多かった。区民の目
線でやさしい区役所づくりを目指した」と話す。
伊村誠美さんは、水道局野田営業所職員で今年度の新規採用だが、カイゼン甲子園の趣旨に賛同し、運
営委員に名乗り出た。「奉職したのは、大阪市が揺れに揺れているころ。どうなるか不安に思っているときに、
自分に出来ることは何かを考えて応募した」と応募理由を話す。本大会では司会という重責を務めた。「中之
島(本庁舎)に来ることの少ない職場。最初は皆さん『何しに行くんやろ?』というような雰囲気もありましたが、
周囲の理解も徐々に得られるようになった」と経緯を話した。

カイゼン甲子園以降、職場はどう変わったのだろう。
礒井さんは「そんなこと言って、本当に変わるんか?という職場の雰囲気があったことは事実。でも今は結果が
後押ししてくれている」と変わりつつある職場に手応えを感じている。阿佐さんも「変えようとすれば守ろうとする
雰囲気もある。ここにいきつくまでいろんな人と話し合った」と話す。カイゼンは、きれい事だけでは済まなさそう
だ。しかし「対案があるなら、どうぞ、という感じ」と自信を見せる。
嶋岡さんは「振り返れば、(カイゼン甲子園は)中間管理職にとっても、あたらしい経験の場であったと思う。活
動の結果が後押しして、若手の意欲が提案の形になって、これをどう生かすかを問われてくる。今までのあきら
めムードも変わった」と話す。石田さんは「昔のやり方が全て間違っているとは思わない。職場を離れてもいいコ
ミュニケーションがあったし、指揮系統がきっちりとしていた面は評価しないと」。嶋岡さんも「上司の言うことは
『絶対』と教え込まれてきた世代にとっては戸惑いが多いが、若手の意欲の盛り上がりによって、双方向でコミュ
ニケーションが図れると理解すればよい」と話した。
職場の風通しを良くすることも、カイゼンの大きな要素だが、実際には個々の人間関係があって、思うようにい
かないようだ。「ただ、僕がいると話しづらいやろ、と言って席をはずしてくれる係長もいる。気遣ってくれているん
だなと感じた」と話すのは、礒井さん。嶋岡さんは「カイゼンという言葉が職場内であちらこちらから聞かれるよう
になってきた。ベテランも変わってきている」。
今回のカイゼン甲子園を契機に、これを職場内で自己完結するのではなく、広く社会に訴求できる改善策を
望みたい。目指すべき形はこれではないだろうか。「でも、小さな歯車から、大阪市という大きな組織が動きは
じめたことを実感している」。新規採用の伊村さんが堂々と語った。



環境事業局、独立行政法人化へ
市民負担増避けられず、スリム化に厳しい視線

「独立行政法人化」。市政改革の中で、衝撃的な言葉が先行する環境事業局の経営形態。
しかし、具体的な検討やあるべき姿などの作業はこれからで、局関係者も「今はコメントできない」と話す。
4月以降議論が本格化することが予想されるが、法人化については、国に向けて働きかけや、局内でも業
務体系のあり方、一般財源比率など多くの課題を残している。
一般的に、法人化になれば自由度が増すメリットがでる。直営業務では、環境事業行政について、「税金
で賄うもの」との位置づけで、廃棄・処理などの一連の流れは殆どこうした認識の下に行われていた。しかし
法人化になれば、どこまで税金で賄うべきかで議論が分かれるものの、一定の受益者負担は免れそうにな
い。他都市に比べ、直営比率が高く、市民サービスも手厚く行ってきた環境事業行政に始めて、本格的な
受益者負担が議論されることになりそうだ。
現行の枠組みで出した環境事業局の経営方針。この内訳を見ると、現行の枠組みで出せるだけのメニュー
を揃えた感があるが、徹底したスリム化、逆にサービスの向上などに抜本的な改革は見られない。現行の枠
組みでは、限界があることを想起させる内容だ。
大阪市の環境事業行政は、長年にわたって、市民から遠く離れたところで、処理を行ってきた経緯がある。
それらが、局内不正の温床でもあった。法人化に向けて自らの整理と市民理解に向けた取り組みを加速させ
なければならない。



「苗」改め、「種」から。市民と一緒に花あふれるまちづくり

大阪市が、グリーンコーディネーターや緑化リーダーをはじめとした市民ボランティアの一層の活躍の場として、
種から育てる花と緑のまちづくりを推進する「種から育てる地域の花づくり支援事業」を行う。この事業を通し
て、市民参画・協働による地域コミュニティづくりを促進することを目指す。飾る場所は、道路や公園、区役
所や学校などの公共施設。
この事業は、市民の手で種から育てた花でまちを飾り、潤いがあり、住みたい、訪れたいまちをめざすものだが
、花づくりを通して、道路や駅前などの不法駐輪やごみの不法投棄、公有地の不法占拠などを防止するね
らいもある。市民だけでなく市職員も地域・まちの住民として、同じ意識のもとに花づくりを行う。
この事業はボランティアなど市民主体の事業。大阪市は市民ボランティアの活動を支援するため、花苗づくり
の拠点となる花づくり広場を整備するほか、種や肥料、用土の供給、資機材の提供、ボランティアの組織づく
り、技術支援などを行う。
平成16年度から西成区においてモデル的に事業をはじめているが、平成18年度には、西成区を含め4つの区
で実施し、四季を通して、全体で約14万株の花が咲く予定になっている。