■動物園A
天王寺動物園は大正4年(1915年)1月に日本で3番目の動物園として開園した。現在約11ヘクタールの園内におよそ310種1500点の動物を飼育している。年間160万人以上の利用者で賑わっている。天王寺動物園では、動物の生息地の環境を可能な限り再現し、そこに暮らす動物の様子を紹介する「生態的展示」を行う計画を進行中。それがZOO21計画だ。この計画にそって、古くなった動物舎の建て替えにあたっては展示の方式に生態的展示を採り入れている。まるで現地で、その動物を見ているような雰囲気にひたることになるとともに、環境や動物への理解をさらに一層深めてもらうねらい。
平成7年には、生息地の現地調査を踏まえた爬虫類生態館「アイファー」が、平成9年には日本初の水中透視展示プールを有するカバ舎が、平成10年にはアフリカのサバンナを再現したサイ舎がオープンした。平成12年にはアフリカサバンナ区草食動物ゾーンが、平成16年にはアジアの森・ゾウ舎がオープンしている。
■動物園リード
天王寺動物園が、平成17年5月から建設を進めていたアフリカサバンナ区肉食動物ゾーンが完成し、9月9日(土)正午から一般公開される。東アフリカにある国立公園や野生動物保護区をモデルに動物が実際に生活している環境を再現、ライオンへの給餌の見せ方や飼育員による解説など、展示・企画にも工夫を凝らした。
■動物園@
今回完成したアフリカサバンナ区肉食動物ゾーンでは、東アフリカにある国立公園や野生動物保護区をモデルに動物が実際に生活している環境を再現。ライオンやハイエナという肉食動物とキリンやシマウマなどの草食動物が、隠された濠で隔離されているため、同じ展示場で飼育されているように見える。
さらにビューポイントの前には床暖房の入った岩や、冷風の噴出し口を設けてライオンやハイエナを誘い、冬でも夏でもガラス越しにライオンや,ハイエナを間近に見ることが出来るように工夫した。エサの投入口も設け、飼育係のガイドを聞きながらエサを食べる様子が観察できる企画も考えている。
アフリカサバンナゾーンの展示ストーリーのテーマは「エコツーリズム」。来園者は東アフリカを訪れたツーリストとなって野生動物を探す旅を体験することに。いろいろな野生動物と出会い、アフリカの自然環境を楽しみながら、サバンナの旅を進め、その旅が終わる頃には、アフリカの空が大阪とつながっていることに気付いていただけるように設定した。
■動物園B
生態的展示手法を取り入れた「ZOO21計画」が天王寺動物園で進んでいる。動物本体だけでなく、実際に生きている現地の環境をできるだけ再現し、「見世物」から「環境学習」的な視点も導入し整備を図ってきたものだ。「ZOO21計画」として投資を図ってきた金額はおよそ■億円にものぼる。
しかし天王寺動物園の入場者数は、現在約160万人。ピークは昭和9年の250万人ではるか昔の話だ。「ZOO21計画」後では、平成8年が最も多く、その後一部リニューアル効果などで多少の反発はあるが、緩やかながら入場者は減少を続けている。今回オープンしたアフリカサバンナ肉食動物ゾーンは、いわば動物園の「花形」であり、一定の集客効果は期待できるが、これに胡坐をかいていられないのが天王寺動物園の現実だ。
動物園を取り巻くいくつかの外的要因は視野に入れなければならない。例えばレジャーの多様化や少子化など。しかしどうしようもならないほど動物園が努力したかというとこれも疑問だ。
満足な市場調査をしたことがなく、来園者の様々な構成要因、来園目的、ニーズなどほとんど把握していない。動物園の今後を考えるとき、まずここからスタートしなければならないと思うほどだ。
動物園では現在、基本的な議論でゆれているという。それは動物園が「環境学習・社会教育的施設か」もしくは「集客施設か」という議論だ。しかしこの問題についてもどちらかにシフトすればどちらかを排除してもいいかという議論はいささか乱暴だ。動物園はむしろ両立が求められている。
集客施設と社会教育施設との垣根は現在なくなりつつある。大阪では海遊館やUSJの娯楽施設でも社会教育プログラムは存在するし、本来社会教育施設であるキッズプラザ大阪でも集客性との両立を常に模索し続けている。動物園でも企画や知恵しだいで両立は可能と考える。
限られた予算の中で、予定どおり計画が進むとは考えにくい。動物園は今までのストックを活用した「知恵」が求められている。園だけで厳しいのならば、民間の資金活用や知恵を求めるのも一考だ。
動物園は都心に残された貴重な空間だ。まずきちんとした調査を行ったうえで多くの知恵をかき集め、新たな動物園像を発信したい。